唐突なプロポーズ

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「……だが、やはり無理だった。私は、一生自分を――彼女を――そして、周囲の者達を騙し、己の心をごまかして生きて行くことなど……出来はしなかったんだ」 「……王子……」 「昨夜、君に出会って――……いや、再会することが出来て、私はつくづく思い知った。……恋とは、しようと思ってするものではない。したいと思えば、叶えられるものでもない。恋とは……恋とは、気付かぬうちに始まって、追い求めずにはいられないもの。……常に、対象に向けて駆けてゆく心なのだと。……リア」 「――は、はいっ?」 「私は、君が好きだ。初めて出会った時から……。君がリアだとわかる前から、ずっと……ずっと君に惹かれ続けている」 「……そ、そんな……」 「リア。改めてお願いするよ。……今すぐにとは言わない。だが、近い将来……数年先でもいい。私の伴侶(はんりょ)となって、一生側にいてくれないか?」 「……ふぇ――っ!?」  ……っとぉ――。……変な声出ちゃった。  ……って、いやいやっ、そんなことはどーでもよくてッ!  今、この人……何て言った?  たしか、『伴侶』だとか、『一生側にいてくれ』……なんてことを、言ってた気がする……けど……。 「……え。……え……え、えぇええええーーーーーーッ!?」  私は心底びっくりして、ずささささっと後ずさってしまった。  ……なっ、なな、な――っ!  何言ってんのいきなりっ!?  ……こ、これって……これって、つまり……つまり、早い話が……。  ぷ――っ、ぷろぽおず……ってヤツぅううッ!?
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