騎士見習いの帰還

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「カイルさん、いつからそこに? いつっ? いつ帰って来たの!?」  私の問い掛けに、カイルさんはハッとしたように目を見開いた。  そして慌ててひざまずき、深く頭を下げる。 「カイル・ランス、只今帰還致しました。ご挨拶が遅れてしまい、申し訳ございません」 「あ……ううん。帰って来てくれてよかったよ。ここって、携帯電話とかないし……。どうやって呼び戻せばいいのか、全然思いつかなかったから。――えっと、とにかく顔を上げて、カイルさん? あなたに伝えなきゃいけないことが、たくさんあるの」 「……はい。それでは――」  私の言葉を受けて、カイルさんは顔を上げた。  ……あれ?  おかしいな。久し振りってゆーほど、長い間離れてたワケじゃないのに……。  彼の顔を見た瞬間、すごくホッとして……あったかい気持ちになった。  ……う~ん……。  カイルさんが、姫様捜索に旅立っちゃってからとゆーもの、王子に振り回されてばっかりだったから……かな?  どっちかってゆーと(いや)し系って感じのカイルさん見て、思わずほっこりしちゃったのかも……。 「サクラ様……?」  『伝えなきゃいけないことが、たくさんある』とか言っといて、いつまで待っても話し始めない私を、変に思ったんだろう。  カイルさんは私を見上げ、僅かに顔を傾けた。 「あ……ああ、ごめん! カイルさんの顔見たら、なんかホッとしちゃって」 「え――?」  ……ん?  カイルさん、急に顔が赤くなっちゃったけど……どーしたんだろ?  ……もしかして、私……何かマズイこと言っちゃった……?
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