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「しっ、親しいなんてそんな――! 王子が、やたらと私の反応面白がって、からかって来るってゆーか……。とっ、とにかく、べつに親しくなんかないですよ! 会ってから二日目ですよ? そんな早く、親しくなれるワケないじゃないですか!」
……ん?
会ってから二日――?
……そっか。
考えてみたら、王子と知り合ってから、まだその程度しか経ってないんだ。
この国に来てからだって、二日しか経ってない――ってことだよね?
たった二日の間に、いろんなことがあったもんだから、なんだか信じらんないけど。
……そっか。
まだ二日。……二日かぁ……。
「婚約というのはどういうことなのですか? 姫様は、ギルフォード王子に婚約解消されたはずでは――?」
「え?……あ、あぁ、そのこと……。それはほらっ、なんてゆーか、えっと……」
「サクラ様が姫様の代役をしておられる間に、王子の気が変わった――ということなのですか? 本物の姫様ではないあなたに、恋をしてしまったと?」
「へっ?……カイル……さん?」
「それでは、姫様が戻られた時に、また……また姫様が傷付くことになるのではありませんか? 姫様とあなたの違いに王子が気付いたら……再度、婚約解消ということになるのでは?」
「――え? また姫様が傷付くって……。それはないですよ。だって姫様は――」
――っと。
カイルさんにまだ何も話してないんだから、通じるワケないんだった。
「えっと……だからね? まずは落ち着いて、私の話を聞いてもらいたいんです。これから話すことは、きっと……きっと、カイルさんを悲しませてしまうことになると思うけど……。でも、聞いて欲しい。聞いてもらわなきゃいけないの」
「サクラ様……?」
桜さんを好きなカイルさんに。
実は、桜さんはこの世界の人じゃなくて……私の方が、この世界の人間なんだってことを。
もしかしたら、もう二度と……桜さんには会えないかも知れないってことを。
伝えなきゃいけないのは、辛い。
辛いけど……でも言わなきゃ。
だって、一番辛いのは……カイルさんなんだから。
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