忠誠の誓い

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忠誠の誓い

「カイルさんはこれから先も……護衛を続けてくれるのかな?」 「え――?」 「だって、カイルさんが守りたかったのは桜さんで、私じゃないんだもん。なのに、このまま側にいてくれるなんて……思ってちゃいけないよね?」 「……姫様……」  カイルさんは驚いたように目を見開き、しばらく私を見つめてから、穏やかな口調で告げた。 「姫様は……私がこんなに早く戻って来た理由を、ご存じないですよね? どうしてだと思いますか?」 「……え? どうしてって……えっと……」  そー言えば、どーしてなんだろ?  カイルさんは桜さんを捜しに行ったんだから、たった一日で戻って来るなんて、考えてみれば変……だよね? 「理由なんてわからないよ。桜さんを捜しに行ったカイルさんが、私が神様から聞いた話を、そんなに早く知るはずもないし……。万が一、どういった方法でかはわからないけど、その事実を知ったとしても……戻って来るのが早過ぎるよね?」  私が神様を怒らせて放り出されてから、王子とセバスチャンに事情を説明したり、セバスチャンに泣かれたり、王子が小さい頃の私に会ったって話を聞いたり……。  え~っと、王子にプロポーズされたりはしてたけど、昨夜出掛けたカイルさんが、ここまで戻って来られるほどの時間があったとは思えない。  ……じゃあ、どーして――? 「昨日、エレンが言っていたという話を、覚えていらっしゃいますか? 神様のいらっしゃる方角が、一瞬白く光ったと」 「――え?……あ、うん。もちろん覚えてるよ。あの後、エレンさんからも直接聞いたし」 「そうですか。……それを私も見たんです。今日の朝方に」 「えっ、カイルさんも!?」  ……そっか。  じゃあ、やっぱりあれは……。  エレンさんが見たってゆーのも、神様が力を使った瞬間――花を咲かせた時だったんだ……。
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