降って来たのは……

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「任せろって……どーするつもり?」 「なに、どうということもございません。こやつの目を覚まさせるだけでございます。――姫様、危のうございますので、少々離れていてください」 「え? 離れてって……何? 何をするつもりなの?」 「姫様、どうか爺を信じてくださいませ。悪いようには致しません」  あくまで胸を張り続けるセバスチャンに、一抹(いちまつ)の不安を感じつつも。  私は言われた通り、カイルさんから体二つ分くらい離れた。  セバスチャンはそれを確認すると、数歩後ずさりし、 「では、参りますぞーーーっ!」  声を張り上げ、テケテケテーーーっと駆け出して、重い体で懸命に跳び上がると、 「ピェエエエーーーーーイッ!!」  カイルさんの顔面めがけて、思いきり蹴りを入れた。 「ぐ…っ!」  ズササササ――ッ!!  カイルさんの体は勢いよく後方へ飛ばされ、大木に後頭部をしたたか打ち付けた後、がくりと倒れ込んだ。 「きゃーーーーーッ!! カイルさんっ!!」  慌てて駆け寄り、抱き起こす。  カイルさんは『う……うぅ……』とうめき声を上げ、一度うっすらと目を開けたんだけど、 「ひ……姫さ――……」  それだけ言って、気を失ってしまった。 「カイルさん!? カイルさんってばーーーっ!!」  顔をペシペシ叩いても、体をガクガク揺らしても、全く反応しない。  ああ……どーしよー……。  頭、めっちゃ強打してたよね?  ……もし、打ち所が悪かったりしたら……。  ああ……そんな……そんな……。
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