6人が本棚に入れています
本棚に追加
「任せろって……どーするつもり?」
「なに、どうということもございません。こやつの目を覚まさせるだけでございます。――姫様、危のうございますので、少々離れていてください」
「え? 離れてって……何? 何をするつもりなの?」
「姫様、どうか爺を信じてくださいませ。悪いようには致しません」
あくまで胸を張り続けるセバスチャンに、一抹の不安を感じつつも。
私は言われた通り、カイルさんから体二つ分くらい離れた。
セバスチャンはそれを確認すると、数歩後ずさりし、
「では、参りますぞーーーっ!」
声を張り上げ、テケテケテーーーっと駆け出して、重い体で懸命に跳び上がると、
「ピェエエエーーーーーイッ!!」
カイルさんの顔面めがけて、思いきり蹴りを入れた。
「ぐ…っ!」
ズササササ――ッ!!
カイルさんの体は勢いよく後方へ飛ばされ、大木に後頭部をしたたか打ち付けた後、がくりと倒れ込んだ。
「きゃーーーーーッ!! カイルさんっ!!」
慌てて駆け寄り、抱き起こす。
カイルさんは『う……うぅ……』とうめき声を上げ、一度うっすらと目を開けたんだけど、
「ひ……姫さ――……」
それだけ言って、気を失ってしまった。
「カイルさん!? カイルさんってばーーーっ!!」
顔をペシペシ叩いても、体をガクガク揺らしても、全く反応しない。
ああ……どーしよー……。
頭、めっちゃ強打してたよね?
……もし、打ち所が悪かったりしたら……。
ああ……そんな……そんな……。
最初のコメントを投稿しよう!