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「セバスチャンっ!? いきなり跳び蹴り食らわすなんてどーゆーつもりっ!? これじゃさっきより酷いじゃない!」
キッと睨みつけると、セバスチャンはビクッと跳び上がり、ペコペコと頭を下げた。
「ももっ、申し訳ございませんっ! このような事態になろうとは思いも寄らず――」
「いや、思うでしょ! あんなに勢いつけて跳び蹴りすれば、こーゆー結果になるだろうってことは、誰だってわかるはずだよっ!」
「ピピ…ッ!?……で、ですが……。お言葉ではございますが、日頃から鍛錬を重ねておりますれば、この程度の衝撃など――」
「鍛錬!? 頭なんか、いったいどーやって鍛えればいーってのよ? 木とか壁とかに、ガンガン頭ぶつければ鍛えられるの!? そんなバカなことあるワケないでしょっ!?」
「ピッ!?……ピィィ~~~……。申し訳ございません、申し訳ございません~~~っ!」
壊れた人形みたいに頭を上げ下げし、しきりに恐縮するセバスチャンを、一瞬気の毒に思ったけど……。
でも、今はそれどころじゃない!
カイルさんの状態の方が、もっとずっと心配だしっ!
「カイルさん! カイルさんっ! お願いだから返事してっ? 目を覚ましてっ!」
再び揺すってから、ハッと我に返る。
――ダメだ!
強打したのは頭なんだから、下手に動かしちゃいけないよね?
……でも、ホントにどうしよう?
この世界に、お医者さんっているのかな?
いないワケないとは思うけど……。
呼ぶにしても連れて行くにしても、こんな場所からどうやって?
「セバスチャン、この世界にもお医者さんはいるよね!?――お医者さん! お医者さん呼んで来てっ!」
「ピッ? 『オイシャサン』、でございますか?」
「そう、お医者さん!……ん? 呼び方違うのかな?……ん~……とにかく誰でもいいっ! カイルさんを助けられるような人、呼んで来てっ!」
「はっ、はい! かしこまりました!」
セバスチャンは大きく翼を広げると、バッサバッサと何処かへと飛び去って行った。
……目を見張るほどの、超低空飛行だけど……。
あれでもまだ、走って行くよりはマシ……なのかな?
「……セバスチャン、やっぱりダイエットしようよ……」
重い体をうんしょうんしょと持ち上げるようにし、めっちゃスローペースで離れてくセバスチャンを眺めつつ、私はしみじみとつぶやいた。
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