マズイこと?

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マズイこと?

 倒れちゃったセバスチャンをその場に残し、一人で城に戻るワケにも行かず……。  結局私は、王子が迎えに来てくれるのを、やきもきしながら待たなければいけなくなった。  再びやって来た王子は、地面でのびてるセバスチャンを見て、 「これはどうしたことだ……? 病人だか怪我人だか知らないが、手当が必要な者が、増えてしまったというわけか?」  呆れ顔でつぶやき、ため息をついた。  どうやら王子は、セバスチャンが倒れてる理由を、すぐに『肥満ゆえの体力不足』と察したらしい。  しばらく休ませれば問題ないと判断し、セバスチャンをそのままにして、先に私を城まで送り届けてくれることになった。  城に到着し、王子に馬から降ろしてもらうと。  私は一直線に城内へ駆け込もうとし、後ろから王子に呼び止められた。 「リア! カイルなら、私が利用させてもらっている部屋に運んだよ。看病やその他の手配はアンナに頼んでおいたから、そう慌てずとも大丈夫だ」  王子はそう言ってくれて、 「そうですか!……よかったぁ……」  ひとまず安心して、ホッと胸を撫で下ろす。 「――さて。私はまたひとっ走りして、セバスを迎えに行ってやらねばな。……まったく、あのご老体にも困ったものだ」  腕組みして苦笑しつつも、王子の言葉には、どこか温かみが感じられた。 「……すみません。うちの爺やが、ご迷惑お掛けしまして……」  怒ってるワケじゃないとわかってはいたけど。  迷惑掛けてるのは確かだから、一応謝っておく。 「いやいや。どう致しまして。それより、君はこれから……彼のところへ行くつもりかい?」 「え?……あ、はい。アンナさんがいてくれれば問題ないでしょうけど、やっぱり心配だし。様子だけでも見て来ようかなって思ってます」 「……まあ、だろうね。君のことだから、このまま放っておくわけはないだろうと、予想はしていたが……」  王子は複雑な表情でため息をつくと、どこか遠くに視線を移した。
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