本音爆発!

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本音爆発!

 王子から『君の優しさは酷だ』というようなことを言われ、私はうろたえた。  私、また何か余計なこと言っちゃったのかな?  王子を傷付けるようなこと……言っちゃった? 「君が私を――私だけを、心から好きだと言ってくれているのなら、こんなに嬉しいことはない。今すぐにでも君を私の国にさらって、永遠の愛を誓うだろう。だが……君は、心から好きだと思ってくれているわけではない。――そうだね?」 「そっ――!……それ、は……。でも、私っ」  反論しようと口を開くと、王子はゆっくり首を横に振った。 「いいんだ、リア。君を責めているわけではないよ。……君の気持ちが、私に追い付かないのも当然だ。私はずっと、幼い頃から君を――君の面影を追い求め、恋い慕っていたけれど……君にとっての私は、出会ってから数日も経っていない、よく知らぬ男でしかない。そんな男を、今すぐ好きになれと言ったところで、無茶だというのはわかっている。……だから、焦らないことにしたよ。なるべく、君に迷惑を掛けぬよう……これからは気を付ける」 「王子……」 「さあ、もう行くといい。彼の様子を見に行くんだろう?……引き留めてすまなかった」  そう言ってきびすを返す王子に、私はとっさに手を伸ばし、上着の裾を掴んでいた。 「――っ!……リア?」  驚いて振り返った王子を、キッと見上げる。 「王子はズルイです! 自分の言いたいことだけ言って……私の言いたかったことは全然聞こうともしないで、さっさと行っちゃおうとするなんて!……私だって、王子やカイルさんのこと、自分なりにずっと考えてて……考え続けて、やっとわかったことだってあるんです! なのに――!」 「……リア……」 「確かに私は、王子ともカイルさんとも、会ったばかりだけど……。でも、二人のことを大切だって思う気持ちは、ちゃんとあります! これは、王子に告白されたから、その気持ちに応えたいとか、そんなんじゃなくて……。私が自分で考えて、感じて、それでわかったことなんです!……私は、王子が好き! カイルさんも好き! 二人とも同じくらい……大好きなんですっ!」
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