王子はキス魔?

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王子はキス魔?

「リア……君の心は正直で、純粋で……時に、ハッとしてしまうほどにまっすぐだ。そんな君が、私には誰よりまぶしい。……どうか君は、そのままの君でいてくれ」 「――え? 王子……?」  王子の口調が、急に重く沈んだのが気になって、顔だけ後ろに向けようとした。  でも、私の視線を避けるように、王子は顔を斜め下に沈め、 「ひゃっ!?」  私の耳たぶに、そっと唇を押し当てた。 「ちょっ! な、何して――っ?」  ――もうダメ!  いい加減耐えられないっ!  私は王子の腕から逃れようと、手足を思い切りバタバタさせた。  なのに……悲しいくらいにびくともしない。 「ちょっとっ、王子ってば!……離してっ! 離しなさいっ、この――っ、バカ王子ぃいいいーーーーーッ!!」  いくら抗議の声を上げても、王子は一言も返さない。それどころか、ますます抱き締める力を強くして……頭に、頬に、首筋に、何度も唇を押し当てて来る。  まるで、唇が届く範囲ならどこでもいいとでも言うように、襲い来るキスの嵐。  なんなの!?  ほんっと、なんなのこの人っ!?  ……ハッ!  もしかして、あれ!?  たまにいるって聞く……『キス魔』ってヤツなの!?  ……ああ、もう……。ほんっと、ワケがわからない。  わからな過ぎて、頭がくらくらする……。
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