王子はキス魔?

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 抵抗するのも疲れて、ぐったりと体を預けてたら。  やっと王子も、少しだけ腕の力を緩めてくれた。 「リア……? もしかして、怒ってる?」 「……いえ。怒ってはいません、けど……」 「けど?」 「……王子って、キス魔だったりします……?」 「キスマ?」 「誰彼構わず、キスして来る人のこと……です。たぶん……」  ……私もよく知らないんだよね、実際のところは。 「誰彼構わず?……酷いな。君は私のことを、そんな風に思っていたのか……」 「そりゃ、信じたくはないですけど……」  ここに来てからの、王子にされたキスの数を考えたら……そんな気もして来ちゃうよ。 「私がキスしたい相手は、いつだって君だけだよ。君以外には、挨拶のキスだってしたくないくらいだ。……本音を言えばね」  ……う……。  そ、そー……なんだ……? 「これでも我慢している方なんだが……。わかってはもらえないか」  小さくこぼしてから、ため息をつく。  ……が、我慢んんーーーーーっ!?  その言葉を耳にしたとたん。  私は王子の腕からすり抜け、数歩離れたところで振り返って、大声で訴えていた。 「我慢って、どこがですかっ!? いっつも突然、人目も気にせずきっ、きき――っ、キスしたり抱き締めたりするクセにッ!!」  あれで『我慢してる』ってことになるなら、世の中の男の人達はみぃーーーんな、我慢強い人ってことになっちゃうよっ? 「人目って……それは一応、気にしているつもりだが――」 「嘘っ! セバスチャンやアンナさん達がいる前でおでこにキスしたり、カイルさんがいる前で頬にキスしたり……さっきだって、指先とかっ、み、耳たぶとかっ、く、く――っ、首すじっ……とか、とにかく色んなとこにキスしてたじゃないですかっ! こんな城の真ん前でっ! どこで誰が見てるかもわかんな――」  ――ハッ!  そーよっ!  さっきのだって、お城の中から……いや、もしかしたら城の外でだって、誰かがどこかから、見てたかもしれないじゃないっ!  ……う、わ~~~~~っ!  そう考えたら今更ながら……めっちゃ恥ずかしくなって来たぁああーーーーーッ!!  バカバカっ! 王子のバカぁッ!!
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