6人が本棚に入れています
本棚に追加
ゲーム……ゲームかぁ……。ゲームねぇ……。
ゲームって言っても、この世界にはテレビゲームもパソコンゲームも携帯ゲームも、もちろん、オンラインゲームだってないよね?
――とすると、ゲームって……えっと、たとえば……オセロとか?
囲碁や将棋じゃ渋過ぎるし……第一、やったことない。
あとは……カードゲーム?
トランプとか、タロット――……は、ゲームじゃなくて占いか……。
んーっと、じゃあ……そーだ、花札はっ!?
あれはゲーム自体より、派手な色彩とか絵柄とか、猪鹿蝶とか花見酒とか月見酒とかって役の名前が、なんか綺麗で好きなんだけど。
……ま、当然、この世界にはあるワケないよね。
――っと……ん?
……ああ、そっか。
そもそも、この世界にどんなゲームがあるか知らないんだから、好きなゲーム訊かれたって、答えられるワケないんだ。
「王子。この世界のゲーム……って?」
顔を上げたら、王子の顔がすごく間近にあって……一瞬固まった。
「へ……?」
思いっきり油断してた私は、すぐには事態が呑み込めず……。
「掴まえた」
にっこり微笑む王子。
ハッと我に返ると、私の右手首は彼の左手にしっかりと掴まれ、もう片方の手は腰に回され……。
気が付くと私は、まんまと王子の手中に落ちていた。
「~~~っ!」
騙されたとわかり、恥ずかしさと悔しさで、体中が燃えるように熱くなる。
「ひ……酷いっ! 『どんなゲームが好き?』とか訊いといて……騙したんですねっ!? こっちが一生懸命考えてる間に、こんな――!……バカっ! 王子のバカバカっ! 卑怯者っ、恥知らずーーーーーッ!!」
思いきり手足をバタつかせてもがいても、王子の体は相変わらずびくともしない。
それどころか、さも余裕ありげにクスクス笑ってたりして……。
最初のコメントを投稿しよう!