罠に掛かった姫

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 ゲーム……ゲームかぁ……。ゲームねぇ……。  ゲームって言っても、この世界にはテレビゲームもパソコンゲームも携帯ゲームも、もちろん、オンラインゲームだってないよね?  ――とすると、ゲームって……えっと、たとえば……オセロとか?  囲碁や将棋じゃ渋過ぎるし……第一、やったことない。  あとは……カードゲーム?  トランプとか、タロット――……は、ゲームじゃなくて占いか……。  んーっと、じゃあ……そーだ、花札はっ!?  あれはゲーム自体より、派手な色彩とか絵柄とか、猪鹿蝶とか花見酒とか月見酒とかって役の名前が、なんか綺麗で好きなんだけど。  ……ま、当然、この世界にはあるワケないよね。  ――っと……ん?  ……ああ、そっか。  そもそも、この世界にどんなゲームがあるか知らないんだから、好きなゲーム訊かれたって、答えられるワケないんだ。 「王子。この世界のゲーム……って?」  顔を上げたら、王子の顔がすごく間近にあって……一瞬固まった。 「へ……?」  思いっきり油断してた私は、すぐには事態が呑み込めず……。 「掴まえた」  にっこり微笑む王子。  ハッと我に返ると、私の右手首は彼の左手にしっかりと掴まれ、もう片方の手は腰に回され……。  気が付くと私は、まんまと王子の手中に落ちていた。 「~~~っ!」  (だま)されたとわかり、恥ずかしさと悔しさで、体中が燃えるように熱くなる。 「ひ……酷いっ! 『どんなゲームが好き?』とか訊いといて……騙したんですねっ!? こっちが一生懸命考えてる間に、こんな――!……バカっ! 王子のバカバカっ! 卑怯者(ひきょうもの)っ、恥知らずーーーーーッ!!」  思いきり手足をバタつかせてもがいても、王子の体は相変わらずびくともしない。  それどころか、さも余裕ありげにクスクス笑ってたりして……。
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