御神木が神様?

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「神様は、他の木や草とは、全く違う存在なのです。お姿は木のようであっても、木と同等とは思われておりません。神様は神様。この世界に――いえ。少なくともこの国には、神様はこちらにしかいらっしゃらないのです」  この国に、この木と同じ種類の木は、他に一本もないのか……。  じゃあ、この木はずっと……ひとりぼっちなんだ……。  そう思ったら、なんだか急に、この木――神様に親近感が()いて来た。  だって、私も、この世界ではひとりぼっちなんだもんね……。  知ってる人は一人もいない。両親も友達も……みんな、いなくなってしまった。  ……そう言えば、晃人……。  今頃、すっごく心配してるだろうな……。  神隠しに遭った時みたいに、捜し回ってくれてるかも知れない。  ……ううん。  神隠しの時は、ちょっと目を離した隙に消えた――ってだけだったけど。  今回は、実際に目の前で――しかも、桜の木に体が吸い込まれて――なんて、異常な状況下で消えたワケだし。  神隠しの時より、もっとずっと、心配の種は大きいはずだよね……。  お父さん、お母さん、晃人――。  私、また……元の世界に戻れるのかな?
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