いつも見る夢

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「……『神隠し』……ねえ……」  神隠しって言っても、たった一日だけのことなんだけど。  どうやら私は、幼い頃に『神隠し』に遭ったことがあるらしい。  自分のことなのに、ハッキリそうだと言い切れないのは、それ以前の記憶が、スッパリと抜け落ちてしまっていたからだ。 「ホントに神隠しだったのかなぁ? 姿消えてたのって、たった一日だけなんでしょ? それで神隠しって言われてもねぇ……」  「まあ、()に落ちないのもわかるけど……。俺は、おまえが姿消した場面に、実際居合わせてたワケだからさ」  晃人は隣の机に軽く腰掛け、腕を組むと、その頃のことを思い出してるかのように、窓の外――ずっと遠くを見つめる。 「ホント、そうとしか思えないような消え去り方だったんだぜ? 一瞬目を離した隙に、綺麗さっぱり消えちまってさ」 「消えたって言っても、その時私達、神社の境内で遊んでたんでしょ? あそこって、大きな木がいっぱいあって薄暗いし、隠れられるようなとこ、たくさんあるじゃない」  私が反論したら、晃人は口をへの字にした。  自分の言ってることが信じてもらえてないようで、不満なんだろう。 「いや、でもさ。ほんの数秒だぜ? いくら隠れるとこたくさんあるったって、すぐ捜し回ったんだし」 「捜すの下手だったもんねー、晃人。かくれんぼで鬼になったら、なかなか終わらなかったじゃない?」 「ぐ……! かくれんぼとは全然違うだろ、この場合!」 「そーお? 同じだと思うけど」 「違うって! 絶対!」  顔を真っ赤にし、悔しそうに言い張る晃人は、ちょっぴり可愛かった。  私はクスッと笑ってから、窓の外に目をやった。
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