御神木が神様?

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「……姫様、いかがなされました?……お顔の色が、(すぐ)れぬご様子ですが……?」 「え?……あ、ううん。なんでもない。……ちょっと、思い出しちゃっただけ」 「姫様……。きっと、お疲れなのでしょう。そろそろ、城へ戻りませんかな? 国王様にも、ご報告せねばなりませんし――」 「……城……?」  ……あ、そっか。  私、この国の姫ってことになっちゃってるんだっけ……。  ……城……国王……。  だ、大丈夫かな?  一応、『記憶喪失』ってことにはしてあるけど……国王には、本物じゃないって、きっとすぐわかっちゃうよね?  いくら似てるったって、自分の娘と他人の見分けが、つかないワケないもんね?  ……う~ん……。  不安ではあるけど、このままここにいたって、どーしよーもないし……。  ここで野宿するったって、この世界のこと何も知らない人間に、それが出来るかどうか不安だしなぁ……。  ――ええーい!  こうなったらヤケだ! 「わかった。……帰ろう、お城とやらへ」  鳥さんの目をまっすぐ見つめ、私は覚悟を決めたのだった。
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