姫様の部屋

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 ……私、これからどーなるんだろ?  一応、『姫様』だと信じ込んでるのは鳥さんだけで、(みずか)ら『姫様』を名乗ってるワケじゃないんだから、罪人とかにはされないだろう……とは思う。  でも、『姫様』じゃないってわかったら、きっと、このお城からは追い出されちゃうんだろうし……。  そうすると、この先、見知らぬ国でたった一人……どーやって生きてけばいーんだか……。  あぁ……なんかもう、前途多難(ぜんとたなん)だなぁ……。  考えなきゃいけないことが多過ぎる。  多過ぎて、なんだか疲れがどっと出て……私はベッドに、仰向(あおむ)けに倒れ込んだ。  すると。  ドアをノックする音がして、次に、鳥さんの声が聞こえた。 「姫様、お待たせいたしました。国王様がお会いしたいとのことです。お召し物を着替えましてから、共に参りましょう」 「……え? お召し物を着替えてから――って、わざわざ着替えるの? この服のままじゃいけないの?」 「そちらは……国王様にお会いするには、少々ふさわしくないと思われるお召し物ですので……」  困ったような鳥さんの声色に、『そりゃそうか』と思い直し、私はベッドから体を起こした。 「でも、お召し物って言われても……。えっと……?」  私は辺りを見回し、クローゼットらしきものを探した。  それはすぐに見つかったけど、ごくごく普通のサイズ。  すごく意外で、私は思わず目を見張った。
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