いつも見る夢

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 今は初夏。放課後と言っても、外はまだ明るい。  ……そう言えば。  あの頃も、同じくらいの季節だったっけ。  あの頃。  神隠しに遭った頃、私は六歳になったばかりで……。  あ。  ちなみに私――神木桜(かみきさくら)は、今年高校に入学したばかりの十六歳。  神隠しにあった年から、ちょうど十年経ったってことになる。  ……桜、か。  桜の花も、この名前も気に入ってるけど、夢の中の桜は……。  あの桜吹雪は、好きじゃない。  一面舞い散る桜の花びら。あれを見てると、何故だか無性に不安になる。  ――どこか。  ここではないどこかへ、連れて行かれる気がして……。  ――っと。  あぁ、違う違う。  今は桜じゃなく、神隠しの話だった。  え~っと……とにかく。  私は六歳の頃、一日だけ神隠しに遭ったんだそうだ。
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