6人が本棚に入れています
本棚に追加
神社へ
長い長い階段を上ると、大きな鳥居が見えてくる。
更に上ると、参道や手水舎、拝殿も姿を現して――。
思わず、そこで足を止めた。
「ん? どうした、桜?」
少し先を歩いていた晃人が私を振り返り、首をかしげる。
「ううん。久し振りに、こんな長い階段上ったから、少し疲れちゃっただけ。……やっぱ、若い頃に比べて、体力落ちちゃってんのかなー」
あははと笑う私に、晃人は呆れ顔で。
「なーに言ってんだよ。若い頃と比べてって……俺達、まだ十六だぞ」
「そりゃそうだけど。……でもさ。小さい頃なんて、こんな階段上がるのも、もっとこう……スイスイ上れた気がするんだけど。今なんか、ちょっと息切れしちゃってるもん」
「なっさけねーなー。だいたいおまえ、運動神経いいんだからさ。何か運動部にでも入ればよかったんだよ。どうしてやらないんだ?」
「……どーして、って言われても……」
……つまらないんだもん。
心でつぶやいてみるけど、晃人には言わない。
最初のコメントを投稿しよう!