神社へ

1/5
前へ
/256ページ
次へ

神社へ

 長い長い階段を上ると、大きな鳥居が見えてくる。  更に上ると、参道や手水舎(ちょうずや)拝殿(はいでん)も姿を現して――。  思わず、そこで足を止めた。 「ん? どうした、桜?」  少し先を歩いていた晃人が私を振り返り、首をかしげる。 「ううん。久し振りに、こんな長い階段上ったから、少し疲れちゃっただけ。……やっぱ、若い頃に比べて、体力落ちちゃってんのかなー」  あははと笑う私に、晃人は呆れ顔で。 「なーに言ってんだよ。若い頃と比べてって……俺達、まだ十六だぞ」 「そりゃそうだけど。……でもさ。小さい頃なんて、こんな階段上がるのも、もっとこう……スイスイ上れた気がするんだけど。今なんか、ちょっと息切れしちゃってるもん」 「なっさけねーなー。だいたいおまえ、運動神経いいんだからさ。何か運動部にでも入ればよかったんだよ。どうしてやらないんだ?」 「……どーして、って言われても……」  ……つまらないんだもん。  心でつぶやいてみるけど、晃人には言わない。
/256ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加