幸福の魔法使い

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 えー、また戦争するのー。  だって北も南も西もみんな制圧したじゃんかー。王様、どうしてそんなに欲深いの。どうしてそんなにケンカ好きなの。どうして僕ばっかりコキ使うの。  確かに魔法って楽だよ。ちょっと僕が、ぷーっと息吹くと、町一つ壊滅するから。 でも僕の魔法、そういう風に使うもんじゃないんだ。僕が強いのは、みんなを幸せにするためなんだよ。  王様、初めて会った時と様変わりしちゃったよ。王様、若かった時はとても優しかったよ。だから僕、宮廷魔法使いになったんだ。    えっ、僕の話、気に食わないの。  えっ、今日の3時のおやつ、くれないの?  生チョコに、アーモンドスライスとチョコチップと、キャラメルソースのっけたトルテ、くれないの…。  ……。  あっ、ごめん。王様の首都、まるごと壊滅しちゃった。ちょっと集中力が途切れると、僕、ジェノサイドしちゃうんだ。    いつもやりすぎないように注意してるんだけど、だってトルテがさ…、チョコチップがさ…、無いんでしょ…。  ……。  あ、ごめん。お城の離宮、火の海にしちゃった。また魔法制御に失敗しちゃったよ。  でも王様、お金あるもんね。離宮ぐらい、すぐに再建できるよ。  え、何? クビ? 僕のことキライになったの。じゃー、いつもの3時のおやつはどうなるの。無い? 僕にあいそが尽きた? ええ……おやつがなくなるの…。  ……。  あ、ごめん。王様の鉱山、インドラの火で丸焼きにしちゃった。    でも大丈夫だよね。王様、戦争大好きだから、他の国から鉱山奪っちゃうもんね。インドラの火ぐらい、気にしない、気にしない。  王様、どうして泣いてるの。大好きな戦争すれば、元気が出るよ。  え? クビにするの、やめた? 僕、ここにいていいの? でも、3時のおやつが無いんでしょ…。え、あるの?   どうして僕にドゲザしてんの。僕はただ、戦争やめてほしかっただけだよ。戦争さえやめてくれたら、僕のおやつなんて、二の次、三の次にしてくれていいんだよ。  戦争やめる? ごめんなさい? ……うん? 王様、目が覚めたみたいだ?
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