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序
遥か太古の昔のことにございます。
わたくし共が住まうこの日ノ本はかつて男の王が治める多くの小国に分かれておりました。
より豊かな土地を手に入れる為に国同士は争いを繰り返し、日ノ本全土は血で血を洗う醜い闘争の渦へと巻き込まれていったのです。
多くの者が傷つき死んでいく中で、一人の女王が現れました。女王の名は日巫女。彼女は強大な力を持つ八人の従者と共にたちまちの間に日ノ本を統一すると、人々に安寧をもたらしたのでございます。
八人の従者。それすなわち、【血河】【残骸】【薄幸】【業病】【殺生】【幽鬼】【悪戯】そして【屍山】。
彼らは"センジン"と呼ばれる異能を持つ不老不死の戦士であり、西の大陸から賢人が持ち込んだ不思議な肉塊と呪術を用いて生み出されたのです。
女王が亡くなると彼らを造った賢人は言いました。
「センジン、人間の世で確かに生きづらいネ。でも無問題、一つだけ方法があるアルヨ──人間になればいい」
その方法とは、自分以外のセンジンの心の臓を喰らうこと……。
およそ1300年の時が経ちました。
日ノ本の各地では大名達が領土を広げ、天下を統一しようと日々戦いを繰り広げております。日ノ本は再び争乱の時代を迎えたのです。
『八ツ裂キ血河』。この物語はそんな苛烈な時の中を生きる異能者達のお話にございます。
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