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デスクの上で、iphoneの画面が光った。 LINEの着信あり。 指先で軽く触れて柴田(しばた)祐太(ゆうた)のトーク画面を開く。 『今、どこ?』 外出先からのメッセージに、すぐ返す。 『会社』 『終わりそう?』 『もうすぐ帰るとこ』 『8時頃、行ってもいい?』 『OK』 最後に『やったー!』と犬が飛び跳ねているイラストのスタンプが返ってきた。 思わず口元が緩むのをごまかすように勢いよく立ち上がって、出力した印刷物をとりにプリンターに向かう。 これをファイリングしたら今日の業務は終了だ。 「北島さん、明日、プロジェクトチームの出張の手配頼めるかな?」 新しい企画のプロジェクトリーダーになった小原に声をかけられた。 「これに今回出張するメンバーと日程が書いてあるから、新幹線と宿泊、とってくれる?」 「わかりました」 北島(きたじま)美和(みわ)は受け取った書類にさっと目を走らせ、うなずく。 「新大阪と、博多ですね。明日の朝手配して、切符は午後にはお渡しできるようにしておきますね」 「助かるよ。よろしく」 小原はさっと片手を上げると、忙しそうに急いで自席に戻っていった。 美和もデスクに戻って、プリントした資料に穴をあけてファイルに綴じ込み、ファイルを片付けた。 小原から預かった紙にもう一度目を通す。 大阪に小原を含めた2名、博多に柴田祐太1名。 行きは6月17日、帰りは21日。 そのあと、6月24日から8月17日まで。 進捗によっては出張期間延長の可能性あり。 そういう内容だった。 1f53cf3a-7374-48e3-bb03-888d7bd7498e
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