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6f5dcd79-d09e-422f-8451-2518c9cc6cbd 目を覚ました時、ベッドに一人きりだった。 いつもと同じように、朝が来た。 ぼんやりした頭のまま、目だけを動かして部屋の中の様子を見る。 テーブルの上に空いたグラスが二つ、へこんだビールの缶が一つ。 明け方のかすかな記憶。 いってくるね、美和さん。 名前を囁く、声。 頬に触れる。唇に触れる。 やわらかくて、あたたかい、感触。 そっとドアが閉まる音。 本当にいたんだ……。 彼がいたはずのシーツの上をそっと指先で触れる。 着信音が鳴った。 手を伸ばしてiphoneをとり、LINEの画面を開く。 『おはようー。今から飛行機乗るよー』 柴田からのメッセージだった。 『おはよう。来てくれて、ありがとう』 『いつでも会いに行くよ』 『今日も仕事がんばって』 『ありがとー』 柴田くんもアウェイの土地でがんばっている。 私も、こっちでできることをしなくちゃ。 美和は体を起こして、両手を天井に向けて大きく伸びあがった。
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