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「帰ってくるなんて、昨日は言ってなかったのに」 美和の部屋で、柴田が持参した弁当を食べた後、いつものように二人で並んで座った。 「うん、今朝、帰るって決めたから」 「何かあったの?」 目を丸くする美和の両頬を、柴田は両手で包み込んだ。 「美和さんに会いたくなったから」 「え?」 柴田は美和の額にかかる髪をそっと指で避けて、目をのぞきこんだ。 「昨日、元気なかったから、会いたくなった」 「ほんとにそれで帰って来たの?」 美和は驚いて柴田の腕を握った。 「明日の仕事、大丈夫なの?」 「朝イチの飛行機で戻れば間に合うから」 「忙しいのにそんな無茶して」 「無茶でもないよ。ちゃんと移動時間計算して、問題ないと思ったから」 「でも」 「美和さん不足で充電に来た」 眉に唇が触れるのを感じて、美和は目を閉じた。
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