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 真暗な部屋にギリシャ彫刻風のミニチュア像がある。女神像だ。右手に大きな天秤を掲げている。  闇から指が一本伸びて、女神の天秤に触れると、天秤が揺れた。 「裁きの時は近い」  男の声がした。 「正義の女神の顔は」  言葉が途切れた。 「マサコ、お前か。それとも」  浮かび上がる、前橋いつきのイメージ。  ふっと笑って、男はドアを開けた。外の光が部屋に差して、また暗くなった。 da7c37c6-6595-457e-8c26-394c47872b02
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