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可可の興味は恋愛?
「すみれは恋愛というのをしたことあるデスカ?」
不意に言われた一言にすみれの心臓は跳ね上がるように高鳴った
そんな些細な疑問を投げかけてきた子が自分の好きな子だからだ
「何よ…藪から棒に……」
すみれの表情は曇っていた、もしかして可可にも好きな人が?…そう思うと心が痛い
可可も年頃の女の子だ
好きな人が出来てもおかしくはない、でも自分以外の人を好きになって欲しくないと困惑するすみれに可可が続けた
「昨日、見た番組が恋愛特集だったデス…番組の中で恋愛について話す子がキラキラとしてたので気になりマス」
少し頬を赤らめながらそう口にする彼女見て軽く安堵をした、恋愛相談ではないそう思うのには十分すぎるくらいだ
とはいえ恋愛などしたことがなく、初恋の真っ最中のすみれ
なんと答えようかと内心、頭を抱えた
ちゃんと答えるべきか、何となく誤魔化してこの話を終わりにするか内なる葛藤にすみれの表情は強ばっていたのかもしれない
「やはり、グソクムシのすみれは恋愛などしたことないデスカ…」
気まずい雰囲気を変えようとしたのか、可可は少し呆れ気味にそう言った
必死に考えている最中だっただけに、少し感情的になってしまった
「ちょっ!わ・た・しは!しないんじゃなくてスキャンダルになるからしないったらしないのよ」
その言葉を聞いて可可はムスッとした表情を浮かべていた
すみれの中でなにかモヤモヤとした感情が湧き上がり余計なことまでも口から出てしまう
「ショービジネスの世界で生きてきた私なら、しようと思えば恋愛くらいいつでも出来るわ、可可とは違ってね」
「ど、どう言うことデスカ!グソクムシのくせに恋愛が出来ると言うデスカ!」
まさに売り言葉に買い言葉だった
「出来るったら出来るわよ〜?お子様な可可にはちょっと早いかもしれないわね〜」
「ムムムゥ…そこまで言うなら可可に恋愛するところ見せやがれデス!グソクムシ!」
「っ!?いいわ…やってやろうじゃない!大人の恋愛ってものを見せてあげるわ〜」
「では、今度の土曜日に恋愛を見せてもらうデス!覚悟しやがれデス!」
それ以降、2人は静かな部室の中で互いの帰路に着くのであった。
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