なんでも話せる人 フランソワーズSide

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「夫の義務のことなんだけれど……」  父の法廷弁護士時代の話を私に聞こうとしながら、王子は急に契約婚の条件の話をし始めた。 「はい」  私は素直にうなずいた。 「待って、頷く前に聞いてくれる?夫の義務とは……その昨日のような僕の行動か、もしくは最後まですることなんだけれど……」  スティーブン王子の腕の中で顔を赤らめて、思わずスティーブン王子の顔を見上げた。至近距離で王子の美しい顔が見えて、私は思わず飛びすさろうとして、王子の腕に抱きすくめられた。 「いいね?フランソワーズ、君に対しての義務は全て果たす」  ――王子はとんでもないことを言っていることに気づいていらっしゃるのかしら?  私は王子の瞳をこれほど近くで見たことがなかったので、その美しさに心奪われながら、そう思った。
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