ニーズベリー城のフランソワーズ付き侍女 アガサSide

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 私はアガサだ。小さな村で生まれたが、豪華絢爛な宮殿の舞台裏は最高に面白いと思っている。ニーズベリー城の主役は私たち一人一人だ。  ニーズベリー城は歴代の何人かの女王が所有した美しい城だ。王は女性にでもなれる、権威ある唯一の職業だ。国のてっぺんが女性によって牛耳られるということだけでもワクワクする。聖女も女性にできる最高の仕事だと常々思っていた。  国家の命運は世継ぎの存在に左右されると言われる。つまり、女王や王妃となるお方が国の将来を左右することになる。だから私は女官を目指した。小さな村の裕福な商人の娘にとって狭き門だ。そして運よくニーズベリー城の侍女の仕事につくことができた。これは最大の幸運だったと思っている。  女性がつける仕事は、肉屋、蝋燭屋、帽子屋、手袋屋、刺繍屋、財布屋……色々あるが、ギルドでは師弟関係は認められない。働くには肉屋と結婚するしかない。妻として手伝うだけだ。  侍女仲間は、私の他は貴族の娘ばかりだ。いかに私が幸運なのか、神に感謝したいほどだ。
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