トラブル ロバート・クリフトンSide

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「そんな呑気なことを言っている場合じゃなさそうだ。ブルク家のゾフィー令嬢が置き手紙を残して失踪した。その置き手紙の内容が問題だ。第二聖女のフランソワーズ嬢が王子に媚薬を盛ってたぶらかしたと告発する内容のようだ。治安判事が既にハンルソン・コート宮殿に呼ばれた」  私はハッとしてテリーの顔を見た。  ――薬を盛った?確か昨日、王子は薬を盛られたはずだ。 「犯人は別だ。確かに薬を昨日盛られたが、解毒したのがフランソワーズ嬢だ」 「それだともう一つ疑問点が残る。媚薬が下手に効いて、誤ってそばにいた聖女に恋をしたと王子が勘違いをした可能性はないだろうか?あまりに突然の結婚発表で俺たちも驚いただろ?」  テリーの言葉に私も沈黙した。  ――確かに一理ある。第一聖女だったヴィラ嬢に恋をしていたはずのスティーブン王子が、今まで見向きもしなかった第二聖女フランソワーズ嬢と結婚を発表した理由が、私ですらいまいちわからなかったのだから。 『我が国の王子を薬の力で不正に我が物にしようとする悪女フランソワーズの横暴を暴いてくださいませ』
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