トラブル ロバート・クリフトンSide

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 紙に書き写したらしい置き手紙の内容をテリーは読み上げた。 「穏やかじゃないぜ。ゾフィー令嬢は死を持って抗議するとして、告発をしている」 「まさか……ゾフィー令嬢は死んだのか?」  ――頼む。生きていれくれっ!こんな勘違いで死なれたら末代まで呪われそうだ。そもそもフランソワーズ嬢は自ら薬を盛るような女性ではない。 「まだ分からない」 「なんと……」  私は絶句した。 「ブルク家側は一人娘を失ったのだから、しつこく公平な裁判を要求するだろう」 「聖女が法廷に引きずり出されるということか?」 「そうなるね」 「治安判事はまたもブルク家だな?」 「残念ながら、そうだ」 「第二聖女を亡き者にしようとしているんだな」 「そうなる」  私は途方に暮れた。フランソワーズ嬢が無実なのは知っている。 「いずれにしてもスティーブン王子にすぐに知らせなければならない」 「そうだな」  私とテリーはニーズベリー城に向かって矢のように馬を駆けさせた。
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