大法官 ロバート・クリフトンSide

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 増収裁判所で取り壊した修道院の土地を国王のものとし、貴族や民間に売却や払い下げる法を作り出したのも、彼だ。腐敗と管理しきれないほどの修道院取り壊し跡を作り出したやり方は、今は完全に廃止されて、増収裁判所も財務局に吸収された。  しかし、ブルク家の治安判事はフランソワーズ嬢を幽閉するか処刑台に送るためなら、ジットウィンド枢機卿の越権行為を増長させようとするだろう。  ――だめだ。  ――反論してダメなら、フランソワーズ嬢に追っ手が来る前に逃そう。  昨晩の放火は、ブルク家とは別の者の仕業だろう。朝早くにブルク家でゾフィー嬢の失踪が発覚したならば、私たちより早くにニーズベリー城に治安判事と大法官が出向いていてもおかしくない。  クリフトン伯爵邸の自分のベッドで、ぐっすり眠ってしまったのが悔やまれる。  優秀な弁護人が必要な事態だ。誰が適任だろう。  大法官が冤罪で法的根拠を考え出す前、もしくは大法官がニーズベリーに到着する時間にまだ間に合っていたら、フランソワーズ嬢を秘密通路から外に逃そう。
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