大法官 ロバート・クリフトンSide

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「それはない。媚薬の段階では、エリーゼ令嬢に惚れても仕方がない状態だったが、そうはならず、解毒のために訪れたフランソワーズの家でも、私は特段恋をしたような症状は発していなかった。体が熱くてゾワゾワして、その男の機能を存分に発揮したいという衝動は抱えたが、それを特定の人に抱いていることはなかった」  私はスティーブン王子の答えについて考えた。 「私はどうしてフランソワーズ嬢の存在が特別なものだと気づいた理由を知っている」  スティーブン王子の答えに私はハッとした。 「それはなんですか?」  その時、従者の一人が血相を変えて走ってやってきた。 「失礼いたします!大法官であらせられるジットウィンド枢機卿とブルク家出身の治安判事とブルク家当主ジャイルズの3人が王子に話したいことがあるとやってきています!いかがいたしますか?」  私たち学友3人は目配せをした。 「分かった。半時稼いでくれるか」  スティーブン王子は従者に告げた。従者が急いで姿を消すと、私たち3人は「展望回廊だな?」と口々に合言葉のように口にした。私たち3人は同じ思いのようだ。
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