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フランソワーズにそう伝えると、彼女は真っ青になった。素早く服を身につけた彼女に「今捕まると、先の王の王妃のように冤罪で投獄されるだろう。ひとまず逃げよう」と伝えた。
フランソワーズは状況を瞬時に理解してくれた。彼女の父親が法廷弁護士だったにも関わらず、ブルク家絡みで身を隠すようにして生きなければならなくなった経緯をなんとなく察しているのだろう。
「私までジットウィンド枢機卿にしてやられるわけにはいきませんね」
彼女はそうつぶやいて、唇を噛み締めた。
部屋の外に出ると、ロバートとテリーと素早く会話を交わした。
「レンハーン法曹院で会おう。一人、腕の良い法廷弁護士を知っている」
「分かった」
「気をつけて」
歓迎されざる訪問客に備えるために素早く踵を返して、ロバートとテリーが姿を消すのと同時に、僕はフランソワーズの手を引いて城の廊下を走った。最短距離で秘密通路まで辿り着く必要がある。
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