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これから行くレンハーン法曹院のことを考えた。壮麗で立派な建物のその場所は、父の時代には既に200人を超える弁護士が所属していたと聞く。古くからある弁護士教育機関であり、ここに所属しないと法律家として認められない。法律家である事を示す黒装束の弁護士がたくさんいる場所だ。
秘密通路を抜けると、貴族のお屋敷の庭の中にあるやはり東屋に着いた。私たちは東屋をそっと抜け出して、庭の中を歩いた。
「クリフトン伯爵家だ。現在のクリフトン伯爵家でこの通路の事を知っているのは、ロバートだけだ。この屋敷は先先代の王からクリフトン家が賜ったものらしい」
スティーブン王子はそっと私に説明した。伯爵家の門番は王子に驚いた顔をしたが、王子は慣れた様子で説明した。
「ロバートを訪ねていたんだ。彼は先に出かけたが」
「スティーブン王子様。そうですね……先ほどロバート様はテリー様と一緒に馬で出て行かれました」
門番は驚きのあまりに言葉に詰まりながらもそう答えた。
「あぁ、そうだね。僕も後を追うよ」
「承知いたしました」
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