パンと聖女の手当

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「お前は利子が払えていない」  ブルックにいきなりドンと突き飛ばされかけた。油断していた私はスキルを発動する間もなくよろめいた。  ――痛っ!  ――母さんに聞かれてはならないわ。  私に父はいない。聖女になれた時大喜びしてくれた父は、私が聖女になって国から手当をもらえるようになると、自分の役目は終えたとばかりに呆気なくこの世を去った。 「利子はおいくらでしょう」  私は小さな声でブルックに聞いた。 「今月から銀貨1枚追加だ」  私は目を見張った。  ブルックを追い払うためにスキルを発動してもいいが、ブルックがこうなった時は機嫌を逆撫でしない方がいい。母に逆恨みをぶつけられてしまうからだ。 「なんだ、その目は。聖女さんは国から手当をもらっているんだろ?スキルを使ってでも払え」  私はそんな脅しに屈しないと言いたいところだ。しかし、母に何かされでもしたら困る。この脅迫を母に聞かれるのも避けたい。
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