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私は二番手の聖女かもしれないが、私にはまだ方法が残っているはずだ。考えるのだ。
ニーズベリー城は突然の王妃の訪問に騒然となった。しかし、王の振る舞いは知られていたことなので、私が夫の浮気に頭に来て飛び出したというのを皆同情の目を持って温かく受け入れてくれた。
「リジー、あとでパンを焼いてあげるわ」
「お母様が?」
私がうなずくと、リジーは目を輝かせた。侍女に目配せをしてリジーを部屋まで連れて行ってもらうと、私は素早く当たりを見渡して、東屋まで走った。まだただ美しい薔薇や花々が咲き誇る庭園のままだ。このあと、庭も着飾ることが大流行するが、まだその時代は来ていない。私は東屋を見つけるとほっとした。果樹園の手前に位置しているのは同じだった。
そっと当たりを見渡して、スティーブン王子がやったように東屋の地下通路を出現させて、そこに入って行った。
スキルで炎を出して、松明につけた。
そして、壁に皮袋がしまえるだけの穴を出現させて、そこに隠した。
「伝言よ。次に私がスティーブン王子とここを通った時、皮袋が落ちてきて、私に秘密のメッセージを告げて欲しいの」
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