パン屋 フランソワーズSide

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 私たち二人はおとなしくブルックの後について歩いた。私は彼が火事で助けてくれたことを忘れていない。群衆の中でスティーブン王子とロバート・クリフトン卿は私たちを見失ってしまったようだ。 「放火の犯人は、ジェノ侯爵家のエリーゼ嬢の指示で、ジェノ公爵家の使用人が行ったとわかった。本人が告白した」  フェリックス・ブルックがささやいた情報に私はほっとした。だが、今の情報が初耳だったらしいゾフィー令嬢はハッとした顔で私たちの顔を見つめた。 「放火?あなたの家が放火されたの?」 「えぇ、あなたが訪ねてきたあの夜にね。危うく母と私は死ぬところだったわ」  ゾフィー令嬢は唇を噛み締めた。 「私もそのお仲間ね。あなたを亡き者にしようとした、その人たちと同じレベルの人間ということになるのね」  ゾフィー令嬢は青ざめた表情で足元の1点を見つめて行った。  私は黙ってゾフィー令嬢の顔を見つめた。 「ここだ。二人とも入れ」  賑やかな雑踏をかき分けて進む私たちの目の前に、立派で真新しい建物が現れた。
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