パン屋 フランソワーズSide

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「修道院取り壊し地の払い下げだが、このあたりがすっかり賑やかになったのだから、いい場所だろう?」  フェリックス・ブルックに促されるままに建物内に足を踏み入れた私は衝撃を受けて立ち止まった。とても綺麗に整備されたキッチンがある建物だ。陳列台のようなものがある。 「パン焼きがま?」 「そうだ」 「お前さんが毎月支払った金で土地を買って、建物も建てた」 「うそ……」 「嘘じゃない。俺はあんたの父親に大きな借りがある。だから、身をくらます必要があったのだ。父親との約束通りにお前名義の土地を買った。お前の金でだがな」  私が絶句していると、フェリックス・ブルックは言った。 「お前のパンは最高だ。ここはお前のパンを売る店だ。パンをここで買って帰ってもいい、買ったパンをここで食べてもいい。コーヒーハウスの機能もつけられるようにした」  私はよろよろとそこにあったテーブルと椅子に座り込んだ。ゾフィー令嬢も続いて座り込んだ。 「掃除は済んでいる。材料も買っておいた。いつでも始められる」
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