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私はその馬に飛び乗って手綱を取り、近くのヴィザー城まで駆けた。私の今の姿では、ヴィザー城の門は顔パスで通過できた。そのまま後の世の者だけが知っている秘密の執務室まで走りに走った。国王は詳細をご存知ないはずだ。この自白の手紙があればという思いだった。馬は庭に乗り捨てた。
この時私は、なぜかそうしなければならないと思ったのだ。
秘密の執務室に入って机の上にその手紙を置いた瞬間、誰かの声がして私は慌てて部屋の隅にあった戸棚に隠れた。
どうやら、王と愛人のようだった。愛人は侍女の姿をしていた。ということは、今の王妃を処刑した後に王妃になる者だろう。
二人はお盛んで、吐き気がするほどイチャイチャとし始めた。頭にきた私が叱り飛ばそうかと思ったその時、誰かが部屋の中に入ってきた。
思わぬ人だった。
――王妃さまっ!
処刑された王妃がそっと執務室に入り込んできて、机の上にあった手紙類一気にそばにあった皮袋に放り込んだ。
――な、何をやっているの……?
私は王妃のやっていることをあっけに取られて見ていた。さらになんと引き出しから手紙が勝手に皮袋に流れ込み始めた。
――王妃はスキルが使えるの?
私はあまりの事態に驚愕してしまった。
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