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――待って待って?よく考えるのよ。王妃がスキルを使えたなら、歴史が変わる。処刑された王妃は何者なの?
そこで私はある真実に辿り着いた。私はさっき死んだ。死んだと思ったら、過去の世界のジットウィンドになっていた。私と同時刻におそらく命を失った者がいたことに私は気づいた。
私たちは群衆が溢れるあの通りに二人ともいた。片方は第二聖女フランソワーズ嬢で、そしてもう片方は私だ。
――フランソワーズ嬢?
――もしも、フランソワーズ嬢が王妃に乗り移ったならば。
彼女はジットウィンド枢機卿を撃退できる証拠を欲しがっているはずだ。
もしも、あのタイミングで死んだフランソワーズ嬢が処刑された王妃に乗り移ったことに気づいたのであれば、王妃の立場で私と同じことをするのではないか。ジットウィンドの横暴を暴く証拠を集めて握るはずだ。
これから何が起きるか知っているのだから、きっと証拠を掴もうとするはずだ。
その後、王妃は窓の外に皮袋を投げた。そして、王にかなりの剣幕で詰め寄って強烈な平手打ちをした。
私は心の中で喝采をした。女を軽んじる男は最低だから。
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