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王への彼女の詰め寄り方は見ものだった。私は胸がすく思いで戸棚から見ていた。
やがて、格好よく颯爽と王妃が部屋を去った後、王と侍女は放心状態でベッドにヘタリ込んでいた。
私は扉からそっと這い出して、部屋をダッシュして外に飛び出した。そのまま命からがら逃げるようにして、ヴィダー城の外に飛び出した。幸い、乗ってきた馬はのんびり草を食べていた。
私はその黒い牝馬に飛び乗り、そのまま城から一目散に撤収した。私が持ってきた手紙は王妃によって持ち去られたと思った私は、内心喝采する思いだった。
――最高だ!証拠を王妃に差し出したのだから!
レンハーン法曹院までの道のりは、木陰を馬で進んだり、道端の花を愛でたりしてのんびり駆けることができ、気持ちが良かった。
もし、浮気を捏造された王妃が事前に捏造を把握して対処できたなら、歴史は変わる。ただ、二十年後に女王になる人はもはや変わらない。嫡子の順は何があってもひっくり返らないからだ。
私が乗り移っている悪の道に堕ちた若き法律家は、レンハーン法曹院が近づくと、また暴れ出した。本来の自分に指令を出したいようだ。
「大人しくしなさいっ!さもなければ、もう一発行くよ」
私は渾身の力を振り絞って、警告した。若きジットウィンドには心底腹が立って仕方がない。
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