法廷弁護士 ダニエル・ポーSide

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 いけしゃあしゃあと嘘の手紙を書いて、無実の女性を罠に嵌めて姦通罪として処刑させようとするなんて。しかも仮にも我が国の王妃を処刑させるのだ。  私は平手を自分の頬にした。 「いたっ!」  涙声が出た。時々暴れるジットウィンドを宥めながら、レンハーン法曹院まで辿り着くと、私は馬から降りた。酒を飲まないとやってられない気分になり、近くの酒場を探した。パブがあった。  私はフラフラとパブの中に入り、1杯エールを頼んだ。 「あいよ」  目の前に、大きなジョッキ1杯に並々に注がれたエールがでてきた。私は一人で乾杯した。    ――苦くないわっ!  私が再びジョッキに口をつけようとしたその時、周りの景色がひっくり返った。    次に目を開けていたとき、私は中央刑事裁判所に急ぐために馬に乗っていた。ハッとして右を見ると、フランソワーズ嬢が胸から血を流して倒れいていたところには、元気なフランソワーズ嬢がいた。王子が駆け寄って彼女を熱烈に抱き締めて、王子はそのまま口付けをしていた。  私は王妃になっていたフランソワーズ嬢もこちらの世界に戻ってこれたことを知った。
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