霧が晴れる ゾフィーSide ※

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 私の心はだいぶ荒れている。  私はスティーブン王子が大好きだった。彼に身も心も捧げたかった。彼に抱かれたかった。彼に全てを捧げたかった。  18歳の私は王子とことをなすために、着々と準備を進めていた。まず、恋人がいる若い侍女を説得して、彼女とその恋人の営みというものを見せてもらった。私はクローゼットに隠れる形で彼女とその恋人が何をするのかを見せてもらった。  激しかった。最初見た時は天地がひっくり返った。若い侍女が見たこともない表情をして真っ赤な顔をして翻弄される様は、衝撃だった。何もかも脱いだ二人が交わる熱量と迫力に圧倒された。  やぁあんっ……あんっ……んっ……ぁんっ……っあンっ!  胸を揉まれて若い侍女が見たこともない顔をして(彼女は可愛かった)喘ぎ、大切な部分に指を入れられて悶えて嬌声を上げていた。最後は男性が組み敷いて激しく突いて、強烈に甘い喘ぎ声が響きわたり、私はあまりの衝撃に崩れ落ちそうだった。彼女は四つん這いにされて後ろからも激しく突かれて、胸を縦横無尽に揉まれたりもしていた。  あぁぁっんっあぁんっあんっあんっあぁっんっあんっ  そして理解した。想像して赤面して憧れた。私は大好きなお方とそういうことをするのだと理解したのだ。  それなのに。  可愛くもない、お金もない、不細工とも言える、冴えない聖女がスティーブン王子を薬でたぶらかして自分のものにした。  そう思い込んだ。  いや、正直になろう。彼女は不細工ではない。ただ第一聖女ヴィラがスティーブン王子と婚約した時も私は立ち直れないほどのショックを受けたが、第二聖女の時のようには腹が立たなかった。  私が媚薬を使ってでも王子に抱かれたかったからだろうか。彼女はその私のはしたない、汚い手を使ってでも王子に抱かれたいと思う私の心を知っているからだろうか。
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