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という言葉が私の頭に響いた。そうだ。そんなことで死んだらただのバカだ。スティーブン王子がフランソワーズに恋をして、彼があんな女性に騙されて彼女を抱いたなんて世界線には生きていたくない。それは本音だが、一方でそんなことのために死を選ぶのはバカげている。
――だって、それって全部を彼女にあげて差し上げるってことでしょう?
私は豪華な実家の屋敷を出て、ごみごみした街の中を歩きながら逡巡した。あの置き手紙の威力を高めるには私は死んだ方がいい。でも、そんなのは正直嫌だ。
フランソワーズがあれほど粗末な家に住んでいるのかと驚いた。どうしても自分と比較してしまう。私は恵まれている。それなのに、王子はフランソワーズに取られてしまった。いきなりの結婚発表だった。
――あの私がフランソワーズに『媚薬』が欲しいと泣きついた時、既に王子と彼女は恋人だったのかしら?だから、彼女は私に媚薬を処方することを固くなに拒んだということなの?
通りをあてどもなく彷徨っていると、昼が過ぎてお腹が空いた。初めてコーヒーハウスというものに入った。お金はいくらか持ってきていたから助かった。
――最高だ。
女性がコーヒーハウスにくるのは珍しいようだ。
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