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私は目をしばたいた。荒くれ男は一瞬ビクッとしたように思った。私に向いていた鍛刀が私から離れたと思った。私にそっくりなその美女は、体か固まって硬直している私に向かって微かにうなずいて見せた。
――逃げるのよっ!
そう言われた気がした。
ただ、その瞬間、私の隣にいる荒くれ男が私にそっくりな美女に一気に飛びかかった。私は悲鳴をあげて思わず目をつぶった。刺された、と思った。一瞬目を開けたら、同時に後ろから長弓で美女は射られたと、と思う。
きゃあっ!
うわっ!
なんだよっ!
人が刺された!
いや、無事だ!
大丈夫だ!
悲鳴が安堵の声に変わった。私は目を開けた。フランソワーズが目の前にいて、短刀が地面に転がり、長弓の矢もははたき落とされたのか、彼女は無事だった。
そこにスティーブン王子が駆け寄ってきた。
「フランソワーズ、うまく交わしたな!さすがだ!」
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