誤解をとく ゾフィーSide

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誤解をとく ゾフィーSide

 そこにジェノ侯爵家のエリーゼ令嬢がおずおずとやってきた。彼女は真っ青な顔をしている。エリーゼ嬢はプラチナブロンドの髪で豊満な体を持つ、若い貴族の間では大人気の令嬢だ。その妖艶さは折紙付きだ。侍女は外に待たせているのだろう。彼女は一人でお店の中に入ってきた。 「よく来たな」  ブルックは彼女にうなずいた。フランソワーズはスキルを使ってパンをこねたり、丸くちぎって並べたりしていたが、ジェノ侯爵家のエリーゼ嬢を見るとビクッとした。 「ごめんなさいっ!私が王子に媚薬を盛ったの!」  エリーゼ嬢は泣き出した。私は衝撃のあまりに一瞬固まった。だが次の瞬間、思わず彼女の背中に手を当てて、「気持ちがわかるわ」とささやいていた。 「私も同じことをしようとしてフランソワーズに媚薬の調合を頼んだのよ。断られたけどね」  エリーゼ嬢は私の言葉に驚いた顔をして、泣きながら告白した。
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