誤解をとく ゾフィーSide

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「私は放火もしてしまったの。頭に来て。私が媚薬を盛ったのに、王子は逃げるようにその場から去って、その夜には第二聖女との結婚を発表されたのよ。家にその知らせが来た時、私は頭に来てしまった。本当にごめんなさいっ!大変なことをしてしまったわ!」  私は恐怖に駆られて黙ったが、思い切って告白した。 「ごめんなさい。私は、フランソワーズが媚薬を盛って王子を不当に自分のものにしようとしていると告発する置き手紙をして姿をくらましてしまったの。そのことでフランソワーズが捕まって処刑されればいいと思った。完全に私が間違っていたわ。ごめんなさい!」  私の告白を聞いてエリーゼ嬢は驚いた顔をした。 「ゾフィー嬢、媚薬を盛ったのは私なのよ。フランソワーズ嬢ではないわ」 「ええ。分かったわ」  私とエリーゼ嬢は涙を堪えきれずに、しくしく泣いた。自分が哀れでちっぽけな人間で、どうしようもなく心根が曲がっていると思えた。惨めな気持ちだった。私は最低な人間だ。 「さあ、皆さん、パンが焼き上がりましたよ」  フランソワーズは焼きたてのパンを盛ってやってきた。コーヒーも淹れてくれている。お茶もあった。
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