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「あなたは第一聖女よりスキルが劣ると言われますが、このパンはすごいと思いますよ。第一聖女にはない才能がありますね。これを食べると私は気分がスッキリして幸せな気持ちになりました。ついさっきまでは暗澹たる気持ちだったのに、今は希望が沸く」
父は素直にフランソワーズに言った。そうだ。それは誰しもが思ったことだろう。
フランソワーズは少し涙ぐんだ。
「私はずっと自分のスキルが劣ると思っていて苦しんでいました。でも、私には私なりに特技というものがあったのですね。ずっと」
フランソワーズは「ありがとうございます」と小さな声でお礼を言った。
「エリーゼ嬢にも、ゾフィー令嬢にも、誰にも負けないあなただけの魅力があります」
フランソワーズはそう言って泣いた。エリーゼ嬢も私も泣きながらパンを食べた。
父はジットウィンド許すまじという顔つきになり、王子とロバート・クリフトン卿と何かを相談していた。
「実はジットウィンドを失脚させられる証拠があります」
フランソワーズがにこやかに皆に告げたのは、皆が帰ろうとした時だった。
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