勝利 ダニエル・ポーSide

5/6
前へ
/207ページ
次へ
「そ、そ、それは私が書いたモノですが、いや、違う!私の意思で書いたわけではない!悪魔に乗り移られて書かされたのだ!」  正気を失ったのかという目で、皆がジットウィンド枢機卿を見つめた。 「拘束して、ニューレリー監獄の独房に移しなさい」 「なんだとっ!放せっ!」  老人とは思えぬ力で暴れ出したジットウィンド枢機卿だったが、屈強な男たちに拘束された。私は引導を引き渡すことができてホッとした。 「補完する証拠として当時のジットウィンド枢機卿の書いた王への手紙を提出します」  私は大量の手紙の束を提出した。  大切な娘であるゾフィー令嬢の殺害を行おうとしジットウィンド枢機卿と、今回こそはブルク家当主ジャイルズは袂を分つ決心をしたのだ。  法律家として、法をうまく利用するために都合の良いように自分で証拠を捏造して他人を貶める彼のような輩が私は決して許せない。自分の権力を守るためだけに、または先の王のように取っ替えひっかえ女を変えて、要らなくなったらゴミのように処刑するような輩も私は決して許せない。  これでスティーブン王子が聖女と結婚しようとしても、彼女の処刑を企む輩には釘を刺せたはずだ。  結婚式まであと2か月だ。
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

415人が本棚に入れています
本棚に追加