辺境伯ブルク家ご令嬢

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 こざっぱりとした身なりだが、国が認めた聖女として最低限の身なりを保つよう気をつけたつもりだ。このドレスは少しずつお金を貯めて買い揃えたもので、王国の世継ぎのスティーブン王子と行動を共にするときはこの数枚のドレスを着まわして大切に着ていた。  ドレスの上に全てをおおうエプロンを身につけた。これは第一聖女にもらったもので、わざわざ彼女は数枚私にも仕立ててプレゼントしてくれた。美しいとも言えるエプロンだ。  ドレスが汚れてしまうことを気にしてはいられないほどの極限状態や、着飾ってなどいられない場面に、しばしば聖女は遭遇する。そのためにこういったエプロンを持ち歩いている。  キッチンに戻った。分割して丸めるとまたスキルを使ってベンチタイムを短縮した。形を整えて、もう一度発酵スキルを使ってパン生地を素早く発酵させる。    そして、家のすぐ裏庭にあるパン焼きがまに火を起こして、形を整えたパン生地を慣れた手つきで並べた。焼くのにもスキルを発動した。
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