結婚式と初夜 フランソワーズSide ※

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「……その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも悲しみのときも富めるときも貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くす ことを誓いますか?」 「誓います」  目の前の美しい王子は、私の瞳をまっすぐに見つめて誓った。私の心臓はドクンと音を立てるように震えた。  ――どうしよう。  彼は迷いの無いまっすぐな瞳で私を見つめている。  彼の気持ちが自分にあると勘違いしてしまいそうだ。私は手が震えてきて、足がガクガクしてくる感じに頭が真っ白になる。  ――無理だ。    こんな夢のような純白のウェディングドレス姿で倒れ込むわけにはいかない。私の頭には希少価値の高い宝石が星のように散りばめられたティアラが載っている。      18歳の1番手聖女ヴィラから完全にフラれた24歳のスティーブン王子は、彼女への未練を隠すために、22歳の地味で冴えない私と契約を結んだ。  私は2番手聖女から王家の花嫁になった。  ――気をしっかり持たなければ。
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