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祝福の声が溢れんばりだ。大聖堂の鐘が国中に慶事を知らしめるために轟くように鳴り響く。私は頭がクラクラとしてきた。
凛々しい婚礼衣装に身を包んだせいで、いつも以上に美しい王子は、私の腕をしっかりと支えて微笑んだ。私たち2人は国王を始め大勢の臣下や高位貴族たちの間をしずしずと歩いた。
彼は私を優しく見つめた。
大聖堂の外に姿を表した私たちは、地鳴りのするような大観衆の歓声に迎えられた。
最愛の彼と私の『愛のない秘密の契約婚』はこうして華々しく幕を開けた。
◆◆◆
そして、ついにだ。初夜の夜がやってきた。
今日、スティーブン王子は湯浴みから私と一緒に入った。侍女たちの盛り上がりといったらなかった。彼女たちの期待に満ちた目配せを私は恥ずかしい思いでかわして、侍女たち全員に浴室から出て行ってもらった。
私が先に入っていると、王子専用浴室で服を脱いで湯を浴びた王子が、ガウンを羽織っただけの状態で私の浴室にやってきたのだ。
こんなことは初めてだ。スティーブン王子がガウンを脱いだ瞬間、私は逃げ出したくなった。初めて服を脱いだ姿を見た。逞しくも引き締まった体にめまいを覚えた。
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